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京阪奈新書

第1弾「天誅組~その道を巡る」舟久保藍著

「序章」より

……文久三年(1863)八月、行幸の詔が出された。行幸先は大和国の春日社、神武陵である。続いて伊勢神宮に参拝して攘夷祈願を行い、天皇を推し立てて官軍をつくり上げ、武力倒幕へもちこむ計画であった。
 大和行幸の詔が出た直後に、約四十名の志士たちが密かに集結した。公家中山忠光を主将に、土佐藩脱藩吉村虎太郎・刈谷藩脱藩松本奎堂・岡山藩脱藩藤本鉄石など、多くが二十代の若者たちであった。河内国で、水郡善之祐らを筆頭とする河内の志士たちも加わり、一行は皇軍御先鋒団を結成し、大和国南部を支配する五條代官所へ討ち入った。これが「天誅組」である。八月十七日、彼らは約七万石の幕府領を占拠し、新政府「五條御政府」を打ち立てたのである。

 しかし翌日、行幸反対派の公家、薩摩藩、会津藩などが、宮中クーデターを断行し、行幸は中止となってしまう。わずか一日で彼ら天誅組は、皇軍御先鋒の大義名分を失い、代官所を襲撃した逆賊となってしまったのである。

……近年、現代社会において天誅組の姿が、求められているように思える。損得勘定や景気ばかりに左右され、信義や倫理観が希薄になりつつある社会において、彼らのような熱い生き方は、やはり詰まるところ、格好イイのである。それは、信条のひとつ「一心公平無私」や、先駆けて行動する純粋さや、潔さである。誰もやっていないことへの挑戦は、躓きや失敗をすることが多い。だが、それがなければ、道は開けない。恐れずに行動する根底にあるものは志であり、志とは、確固たる目的や信念であり、寝食を忘れるほど打ち込めるものである。そこに、利害や毀誉褒貶など入るはずもない。
 天誅組の変とは、自分たちより強大な相手に挑み、約四十日にわたって幕府軍を翻弄し続け、最後は潔く散って行った志士たちの、ある種痛快な物語なのである。

 

目次

序章 3
奈良県内の行軍図 17
相関図 18
行軍年表 20

第一章  奈良県 倒幕の先駆けとして 27
1.新時代への第一歩となった五條市 28
千早峠を越えて五條代官所へ 30
桜井寺に新政府設立 31
代官所役人が眠る極楽寺墓地 33
 【コラム】五條ゆかりの隊士たち 34
      井澤宜庵 34 / 乾十郎 36 / 森田節斎 39

2.南朝の里、西吉野町・大塔町 42
賀名生皇居で決意を新たに 44
激戦の跡地、大日川集落と鎮国寺 45
天ノ川辻本陣と鶴屋治兵衛の支援 47
三日間だけの本陣、白銀岳 49

3.高取城へ進軍、御所市・高取町 50
風の森を越え伴林光平が参陣 52
女医榎本住の診察 54
難攻不落の山城、高取城 55
木の辻で吉村虎太郎が負傷 57
高取藩が鳥ヶ峰に布陣す 59

4.焼け野原となった商都、下市町 60
防衛前線、樺ノ木峠古戦場跡 62
戦火に巻き込まれた法泉寺 62
永全寺に砲弾が直撃 65
 【コラム】 下市町ゆかりの隊士 66
      橋本若狭 66

5.勤王の誉れを受け継ぐ十津川村 68
解散の地、上野地本陣跡 70
国王神社と玉堀為之進 72
勤王志士、梅田雲浜顕彰碑 74
風屋本陣跡で竹志田熊雄が没す 75
早期脱出を図った武蔵本陣跡 76
陸軍大将、荒木貞夫の終焉地 77
伴林光平の釈迦ヶ岳越え 77
 【コラム】義を貫いた十津川郷士たち 80
      野崎主計 80 / 深瀬繁理 82
      田中主馬蔵 83 / 田中光顕の歌碑 84

6.後南朝が脈うつ下北山村・上北山村・川上村 86
峻険を越えて辿りついた正法寺 88
伴林光平が立ち寄った前鬼の里 89
林泉寺の本堂に火を放つ 91
伯母峰峠と地蔵堂 92
後南朝の里、法昌寺へ 94
小川佐吉らが匿われた天誅窟 95


7.終焉の地、東吉野村 97
敵陣へ斬り込んだ決死隊 99
本隊が彦根藩本陣へ突撃 101
出店坂で植村定七が戦死 103
彦根藩脇本陣前での激戦 104
千代橋で奮戦した宍戸弥四郎 105
林豹吉郎が紙屋前で倒れる 106
鍋島米之助が潜伏した辰巳屋 108
小名峠で捕縛された島村省吾 108
四条屋前で山下佐吉が戦死 109
隊士が潜伏した松本清兵衛宅跡 110
地蔵堂前で松本奎堂が孤立する 110
山中で討たれた松本奎堂 111
紀州藩士的場喜一郎を倒す 111
鷲家の紀州藩本陣跡 112
津藩、油屋に布陣す 112
藤本鉄石が斬り込んだ日裏屋 113
隊士たちの菩提寺、龍泉寺 114
吉村虎太郎が休息した簾屋跡 115
吉村虎太郎が匿われた堂本孫兵衛宅 116
津藩に包囲され吉村虎太郎が戦死 117
隊士たちが眠る明治谷墓地、湯ノ谷墓地 118

8.脱出を図った桜井市・天理市 119
前田繁馬らが津藩と戦い死す 121
多武峰を越えて楠目清馬が自害 122
吉野屋跡で、一網打尽にされる 122

 【コラム】安堵町ゆかりの隊士たち 123
      伴林光平 123 / 北畠治房(平岡鳩平) 127 /伴林光平の歌碑巡り 128


第二章  大阪府 楠木正成の地を行く 135
1.西高野街道を進軍した堺市・大阪狭山市 136
堺港へ上陸し、進軍開始 138
狭山藩へ協力を呼びかける 138

2.河内勢が集結した富田林市 140
水郡善之祐邸と養楽寺で休息 141
錦織神社の河内勢顕彰碑 143

3.勤王の奥河内、河内長野市・河南町 144
油屋本陣で体制を整える 145
楠木正成の首塚へ詣でる 146
物資を提供した白木陣屋 148
 【コラム】河内ゆかりの隊士たち 149
      水郡善之祐 149 / 田中楠之助 152 / 長野一郎 153


第三章  主な隊士の関連地 155
1.吉村虎太郎 高知県高岡郡津野町・梼原町ほか 156
巌頭烈風に立つ銅像 158
吉村虎太郎の生誕地と邸宅 159
梼原大庄屋時代の屋敷跡 161
八志士の、維新の群像 162
京都時代の寓居跡 164
2.藤本鉄石 岡山県岡山市ほか 165
藤本鉄石の生誕地 166
京都に寓居し倒幕へ 167
吉野山に建つ招魂碑 169

3.松本奎堂 愛知県刈谷市ほか 170
松本奎堂の生誕地 172
刈谷城址に建つ辞世の歌碑 173
故郷に建立された墓 174
朋友と造った雙松岡学舎 176

4.中山忠光の終焉地 山口県下関市 177
恩地トミと暮らした延行の地 180
常光庵を飛び出し、連れ戻される 182
三恵寺の庫裏に隠れる 183
さらに人里を離れ、四恩寺へ 184
大田家から連れ出され、殺害される 186
遺体が埋められた夜討垰 187
事件後の田耕村の人々 189
綾羅木に創建された中山神社 190

 【コラム】志士の聖地、靈明神社と霊山墓地 191

   あ と が き 196

 

新書判サイズ、198頁

 

 

 

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